カウンセリング(心理療法)について

カウンセリング(心理カウンセリング)と心理療法(サイコセラピー)は別ものとされることも多いのですが、この二つはそれほどはっきりと区別できるわけではありません。また日本では心理療法は通常、「カウンセリング」という名のもとでおこなわれていることが多い印象があります。ここでは「心理療法」「カウンセリング」は基本的に同じものと考えていただいて結構です。

心理療法にはさまざまな流派があります。精神分析的心理療法、認知行動療法、パーソン・センタード・アプローチ(クライアント中心療法)、解決指向アプローチ、交流分析、ユング派の心理療法… 他にも新しいアプローチがいろいろと生まれていて、心理療法を受けてみようという人にとっては何を選べばいいか困ってしまうほどです。

流派の特徴を知って、自分にあっていると思えるものを選ぶのは、大事なことです(それぞれの流派の特徴については、こちらをご覧ください)。ただ、個人的には、あまり細かく流派にこだわらなくてもいいのではないかとも思っています。実際にはセラピスト(カウンセラー)がいくつかのアプローチを学んでいることは多く、流派は異なっていても実践としてはわりと似通っている部分も少なくないからです。

あなたがカウンセリングを受けることを考えているとしたら、次のことは知っておいてほしいと思います。クライアント、つまり心理療法やカウンセリングを受ける人がセラピストに何かをしてもらうという受け身の姿勢でいると、カウンセリングはあまりうまくいきません。心理療法やカウンセリングを受ける時には、自分自身で考えたり、感じたり、真剣に何かに向きあったりすることが必要になります。その意味で、「心理療法を受ける」「カウンセリングを受ける」という言い方は、誤解を招く言い方かもしれません。カウンセリングはクライアントを中心とするものであり、クライアントとセラピストの共同作業なのです。

パーソン・センタード・アプローチと呼ばれる流派のセラピストは、クライアントの言わんとすることに耳を傾け、クライアントが今の状況の中でどんなことを感じているのか理解することをいちばん大事に考えます。そしてこのような傾聴の態度は、パーソン・センタード・アプローチに限らず、ほとんどの流派の心理療法の基盤となっている態度です。セラピストは、問題を解決したりアドバイスをしたりする人というよりも、話を聴き、理解しようとする人なのです。(これについてはちょっと補足が必要かもしれません。こちらをご覧ください)

話を聴いてもらって理解してもらったところで何の役に立つのか、と思われる人もいるかもしれません。もちろん、セラピストは専門家としての立場から、必要であればアドバイスもしますし、新しい視点を提示することもします。しかしもっとも重要なのは、あなたがあなた自身の感じているものに注意を向け、それを言葉にしていくプロセスであり、それによってあなたがあなたらしく問題を解決したり物事を先に進めていくことがはじめて可能になります。セラピストの仕事の中心は、そんな、おそらくはあなたにとって不慣れであろうプロセスがうまくいくようにお手伝いすることであり、それが可能になるような場所になることです(人が「場所になる」、というのはおかしな言い方かもしれませんが)。

カウンセリングの場の中では、自分が今どんな状況にいるのか、どんなことを感じているのか、本当は何を欲し何を必要としているのかといったことを振り返り、整理することができますが、それだけではありません。この場は、自分の内側であたらしい何かがひらいていくことを可能にしてくれます。私たちは自分を変えようとする時、「こうしなければならない」「こうならなければならない」というところからスタートすることがあります。しかしカウンセリングでは、今の自分自身をセラピストとともに穏やかに見つめていく中で、より深く自分らしくいられるような、あるいはより自分らしい自分になっていけるような、そのような空間がひらけるのです。

心理療法のさまざまな流派

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